TRPGに仮想通貨を導入したら、1回のキャンペーンでゲームエンドまでされた話。世の中詰まるとこマネーゲームってわけさ。キャラの強さも冒険も必要なかった。
これは計画の甘かったシナリオを作ったGMの話。
きっかけ6月のとある日。
学生時代の友人から久々に声が掛かった。
就職で地元を離れ、久しくあっていない友人からのLINE。
卒業して以来のTRPGのお誘いに喜びつつ、友人に感謝。と微妙な距離感を感じる敬語にちょっぴし罪悪感を覚えならら誘いを受ける。
プレーヤーならまだしも、GMとなれば事前準備が忙しい。
TRPG開催日はお盆頃だが、ルールを覚え直さねばとルルブとリプレイ本を読み返し、ルールを思い出す。
ちなみに今回プレイするのは迷宮キングダム。異世界で国造りしながら、さまざまなトラブルを解決するTRPG。もう絶版しているらしいが、初心者から玄人まで楽しめる名作。
さっそくシナリオ作りに取り掛かる。
期待されてGMを依頼されたからには、面白いシナリオを作らねばと意気込んだものの、どうすべきかと悩む。
ネットからシナリオを取ってきてアレンジしてもいいが、わざわざ声を掛けてくれたからには自分らしいシナリオ&GM捌きの役割期待に応えなければ。
参考までに過去の自作のシナリオに目を通す。A4ノート見開きにざっくりとしたシナリオの流れ・決めセリフ・迷宮とモンスター情報が書いてあった。
どうしてこれっぱしの情報で3時間食い繫いでいたがいたかわからないが、シナリオの作り方は思い出した。学生時代当時に感化された作品をオマージュ?して作っていた。
当時はキングダムか戯言シリーズの影響を受けたと思われるシナリオが多かった。
YouTubeを開き、最近の動画視聴履歴を確認する。
今のマイブームはFX破産スレのゆっくり読み上げ動画。シナリオの方針が決まった。
阿武町給付金誤送付問題とソニー生命保険横領でビットコイン爆上げ問題を参考にしてキングダムっぽい国問答を入れたシナリオが完成。
おおまかな流れは以下の通り、
①導入で各プレーヤーに国とは何かを問答し、それぞれに「心」「土地」「歴史」と別々の回答を告げる。
②闇金業者が借金取り立てに登場。現国王(NPC)名義で463MGの借金していることが発覚。借金返済が不可能な場合は土地を押収すると通達される。
③借金の理由は仮想通貨の運用失敗のため。現国王は損益挽回すべく、国宝を持って国外へ逃亡。
④PL達は現国王の逮捕&国宝の確保、および借金の返済のため迷宮へ。
シナリオクリア条件は
第1目標:国王の逮捕
第2目標:国宝の確保
第3目標:借金利息50MGの用意
第4目標:借金463MGの用意
であり、どこまでクリアできるかを求める。
オリジナル要素として仮想通貨MAYOを導入。
クォーターの経過の回数だけ、レ-トが変動する。
生活/9で判定し(希望使用可)、
成功:2D6の出目をレート掛け
失敗:2D6の出目を0.01倍してレート掛け
絶成:2D66の出目をレート掛け
絶失:2D66を0.01倍してレート掛け
スタートレートは 1 MG=0.01MAYO
スタート時点で現国王が所持していた100MAYO(=1MG)がある。
想定したプレイ流れとして
国王を探しながら迷宮を攻略し、その過程で清算アイテムを集める。
国王逮捕&国宝確保し、国宝を売らず借金利息を確保。
あわよくば、残りの仮想通貨の変動次第で借金返済
と云う感じ。
「異世界ファンタジーで仮想通貨を取り扱う」を最大のボケとしてシナリオ制作。
自分のセンスが面白いと信じて、当日に臨んだ。
開催場所の先輩宅へ訪問し、久しぶりに会う友人達に挨拶を交わした。
今回はTRPG&ボドゲ会のような集まりであり、2日間開催であった。
担当したまよキンは2日目にすることになった。初日は夜遅くまでお酒もいれながら騒いだため、二日目のまよキンは二日酔い&寝不足状態で始まった。
オープニングでの掴みに手応えはアリ。参加PLの反応は上々。
迷宮フェイズと戦闘はやや間延びしてテンポは悪かったものの、そこそこの盛り上がりがあった。
概ね想定した流れでラストパートに入り、金勘定をPL同士で相談し始める。
迷宮フェイズで獲得したお金は僅かに利息50MGに届いておらず、国宝を売るか売らないかのラインでPLとGM間の交渉が始まった。
PLの提案で先に仮想通貨MAYOの変動結果の確認をすることとなり、シナリオで経過したクォーター分をまとめて判定を行った。
結果、交換レートは1 MG=0.01 MAYOから1MG=48'648MAYOとなった。
仮想通貨は爆上げをキメた。
レート変動ルールの詰めが甘すぎた。単純掛け算にしたことで、上げ幅が倍々算状態になり、生活/9の判定は希望と楽器のコンボで7回中6回成功。
4’864’800MGを手に入れたPL達は国宝も土地も売らずに、借金を利子を付けて完済した。そして暴挙が始まった。
残りのお金で全てのプレイワールドの土地を買い取り、全ての道と建物を建築を実行。
その結果、5人中3人の使命が達成。
1回のキャンペーンで完全クリア状態のゲームエンドを成し遂げた。
全てはお金によって解決された。
総評としては想定外ではあったもののオチらしいオチが付いたことで、ゲームとしては盛り上がった。GMとしてはゲームエンドをキメられてやや複雑ではあるが、楽しんでもらえたのなら良しとするしかなかった。
レート変動ルールについては、作成段階からやや甘い設定であることは認識していたが、計算が単純の方がPLへの理解が伝わりやすいことと、ゲームの第4目標の借金返済も可能にさせるため緩めにしていた。想定では多くて100~500倍ぐらいとしていたが、遥かに上を行く結果となった。なんなら、借金も463MGではなく、オリジナルに沿って4630万MGでも成立しそう...
反省点は最初の生活/9の判定を10~11にすべきだったことと、レート変動を単純掛け算すべきではなかったこと。
1キャンペーンでゲームエンドされたことは河嶋先生および冒険企画の皆さまに申し訳がなく、ゲームルールを安易に変えてしまった罰が当たった。
もし、TRPGに仮想通貨の採用を検討しているGMがいるのであれば、私の経験を是非参考にして同じ過ちを繰り返さないことを祈る。
PS.内容的に特定されそうだが、特定できても黙っとっておくれ。