岐阜獄中記 ~アキバから岐阜へ~

アキバを離れ、陸の孤島「岐阜」に収監(就職)されたオタクの話

注射の中身

 さいころから医者は偉いと教わった。偉い人には従わなければならいない。「腕を差し出せ」と云われればそれに従い、注射が必要だと云われれば我慢して受ける。きっと必要なことだから。何をされたかも知らずに。

 

 コロナの影響もあると思うが、以前より感染症に対する意識が変わった。体が丈夫だからと過信し、マスクしないし手洗いうがいも適当にしていた去年。インフルエンザに人生で一度もかかったことがないので、根性論で過ごしてきた。きっと免疫が人一倍強いのだろうと思い予防接種をしたこともせず、何なら予防接種をすると体の免疫が下がるとも思っていた。

 

 コロナがいったん落ちつき、冬直前の今日。インフルエンザの予防接種に人生で初めて行った。運良く病院の予約が取れ、仕事の合間に病院へ。問診票を書きながらロビーで呼ばれるのを待つ。私の名前が呼ばれて診察室に入る。医者は女性で目の前の椅子に促した。椅子に座り、予防接種の事前説明を受けた。そして、腕を差し出すように云われ袖を捲り、注射できるように姿勢をとる。

 

 注射は何回やっても慣れないものだ。自分の肌に先の尖った注射針を差し込むのは見ていられない。針を見ながら注射を受けるのは体が強張りすぎてよくないため。いつも見ないようにして注射を受ける。いつもと同じように注射を見ないで受けて、チクっと痛みを感じながら予防接種を受けた。

 

 待合ロビーに移り、今度は長椅子に座り込む。緊張から解放されたため、体の節々が弛緩する。町の小さな病院。天井を見ながらぼーっとし、考え事をし始めた。

 岐阜・病院・注射.....思い出してくる、とある女性からのアドバイス。「注射しているときには自分が何を注射されたか確認しなきゃだめよ」たしかそんなニュアンス。それは三佐の言葉。そう云われて先ほどの注射の瞬間を思い出す。事前説明のときはちゃんと聞いていたが、注射のときは早く終わってほしいがために医者の指示に素直に従い、何の注射を受けたなんて見てはいなかった。そう思うと、注射を受けた右手に妙な違和感を感じた。そっと触れてみる。注射を受けた位置に正方形の絆創膏が貼ってあるのを服の上から確認する。腕を抑えながら硬直する。本当に予防接種の注射だったのだろうか?するとそこに一人の看護婦が寄ってきて忠告してきた、「注射したところは刺激しないようにしてくださいね」と。ナースってかわいいよね。非日常感がするし。そんなことを考えながら、私は仕事へ戻った。

 

 次回は忠告に従い確認します、三佐。

 

PS.映画プリキュアのため、有給休暇取得へ。