岐阜獄中記 ~アキバから岐阜へ~

アキバを離れ、陸の孤島「岐阜」に収監(就職)されたオタクの話

斎藤道山が憧れた那古野

岐阜城は三方を山に囲われた濃尾平野の奥にある天然の要塞である。複雑に絡んだ川が外敵の進行を阻害し、あの織田信長公も美濃攻略には苦労した。時は現代、要塞は牢獄と化した。

 

 岐阜市がある濃尾平野は養老山地・伊吹山地両白山地尾張丘陵の山々に囲われている。平野から抜けるためには名古屋方面に南下するか、米原・京都方面に西へ進むかのどちらかである。鉄道の話である。

 

 何もない岐阜から鉄道で脱獄するには名古屋方面か米原・京都方面の2択である。しかし、実質名古屋方面のみである。名古屋が近県で最も発達しており、近いからである。多くの県民が大きな街へ出かけるときは名古屋・栄方面のことを指す。ちなみに岐阜に大きな街はない。あるのはイオンだけある。イオンは街ではないのだ。

 

 もう一方の米原・京都方面の利用頻度は少ない。米原・京都方面と云えば聞こえはいいが、米原には何もない。ビックリするぐらい何もない。なんで新幹線が止まるのか疑問なぐらい何もない。何もないから米原の先、京都あるいは大阪の近畿エリアを目指す。岐阜羽島ですらデパートが隣接するのに米原はない。何か政治的癒着を感じるほど、何もない。

 

 ものを買いに街へ出かけるのは当然の行為である。豆腐を買うなら、豆腐屋。パンを買うならパン屋。本を買うならアニメイトである。しかし、そんなのは建前で街に遊びに行くのが本当の目的である。このご時世、ネットで何でも手に入るのに、わざわざ街に行き店頭でものを買うのは、街で遊びたいからである。大人も子供も考えは同じだ。

 しかし街の無い岐阜監獄は他県に行くしか無い。越境は気軽ではない。東京からさいたま新都心駅に行くのとは訳が違う。濃尾平野に暮らす住民でも1時間はかかるだろう。けっこうなお出かけなのである。朝から準備をして目的を持って出かける必要がある。

 

 私は昔のように「Twitterで新刊情報見て、アキバに何となく行く」ぐらいの感覚で名古屋には行けない。名古屋はそんなに気軽じゃないだ。そして以前話した通り、名古屋はアキバじゃない。悲しい悲しい現実である。

 

 美濃の斎藤道三は那古野を織田信長に阻まれさぞ苦労したことだろう。岐阜駅前にアニメイトを作ったのは那古野の街並みに憧れたからだと私は思う。そんな道三の功績を讃えて今日も岐阜駅前のアニメイトへ通う。

 

PS.キングダム59巻は激アツ展開ですね。秦の心配してたら趙の未来を心配してしまう。続きが気になります。

 

 

 

 

 

山からの越境は